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2017.01.04 (Wed)

成長産業『林業』

高度経済成長の余波が残る昭和50年代、杉の材価は最高値だったろう。
飫肥の街は、ネオンが灯る中で山林業関係者の往来が多かった。
弁甲材が、立木で1本3万円ほどだった。

農村部では運転免許証取得者が多く、新しいトラックの購入も増えていた。
田んぼには新型の耕運機が入り、団塊世代の結婚期でも費用が要る。
その資金需要を補ったのが、山林売却の益金である。

が、昭和39年から始まった木材輸入、そして弁甲材需要ゼロで材価は急落。
昭和57年をピークに下がり続け、現在は最高値時代の1割にも満たない。
高額配当を夢見た分収林の価値も下落、造林意欲を削いでいった。

最高値時代には拡大造林が奨励され、パルプ材伐採と針葉樹植林が繰り返される。
その時に植林された山林が今、主伐期を迎え、更新の時期に当たる。
輸入材の減少、世界的な森林資源枯渇、バイオマス利用で材価は、かっての1割までに回復した。

山林の立木価格は低迷しても、市場で消費される柱や板の価格は下がらない。
否、新築住宅の坪単価を見てみると、むしろ上昇している。
つまり、製材所の賃金や運送コストが製品価格を押し上げているのだろう。

需要地での販売価格から、製材所、素材業、そして川上へと経費が吸収される。
川下で消費される価格から、川上に辿る過程の利益を吸い上げた残存価格が山林に。
つまり、40年から50年も育林で汗を流した人が、吸い上げられた残りを手にする訳だ。

植林して、夏真っ盛りに汗して下刈り、補助金はなくても除伐、間伐は欠かせない。
半世紀の苦労が、一瞬にして利益を得る川下の、搾り取られた残りに甘んじる。
その『利益配分』が黒字で、投資効果が大きいならば『造林意欲』が湧く。

いま、再造林意欲を失い、未植栽のまま放置されていてる現状を見る限り、造林意欲は感じられない。
それでは、森林の持つ『多面的機能』発揮も、木材需要への対応も覚束ない。
覚束ないどころか、大きな資源枯渇や自然の荒廃に繋がりかねない。

『だから行政の支援が必要なんだよ!』と、口を酸っぱくして訴えるが、眼差しは冷たい。
行政は、『林業関係の予算は、多額を計上してますよ!』とも言う。
が、製材所の乾燥施設であったり、木質化への予算、高性能林業機械の導入などだ。

つまり、川上から川下に至る間への投資であって、育林への投資ではない。
『造林補助を与えているではないか!』と言われるものの、汗かきの時間は長い。
つまり、即効性の投資と、ロングラン投資の違いに気付いていないのだ。

確かに、高性能林業機械の導入などで、『搬出経費』は圧縮できている。
が、その分が殆ど山林所有者に還元されているとは言い難い。
雨後の筍のように新規参入する『素材業者』が、『旨い汁』だと教えている。

でも、一時期のような材価低迷はないだろう。
世界的にも違法伐採が増えるほどに木材資源が逼迫しているし、需要は伸びる。
加えて、バイオマス発電は『パリ協定』を受けて漸増するだろう。

『再造林意欲』を醸成する価格は、如何程であろうか?
やっぱり立木平均価格が、現在よりも2千円上昇して5千円に至ったときだろう。
そうなれば、50ヘクタール以上の山林所有者は植栽から搬出まで担える。

つまり、農地と同様に『林地の集約化』が必要になってくる。
小規模の林地を集め、路網密度を高め、施業の経年循環を高める。
下刈りが省力化できれば理想的だが、近いうちに無公害の除草剤もでてくるだろう。

世界的には、森林を伐採しての農地開墾が進んでいるらしい。
が、日本国内では、かって林地を開墾して田畑を開いた場所が、林地に還ってゆく。
つまり、農地は減り、林地が増えていくものと思う。

地球温暖化防止、水源涵養機能、林地崩壊防止、多くの役割が課せられた林業。
担い手には、汗の量に報いる手当を与え、豊かな生活を保障する。
再来年度から具体化される国税、『森林環境税』は、その財源になる。

間違いなく、林業は『成長産業』となる。

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