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2016.08.13 (Sat)

老い

昼の日中に、固定電話が鳴る。
『どうしようかなぁ~!』と思うが、御年輩の方かも、と思って受話器を。
番号通知を確かめればいいのに、生憎と眼鏡を外しているから、そのままに取る。

案の定、保険の案内である。
この時間、家に居るのは高齢者と思っているから、売り込みの電話だ。
0120から始まる通知番号を確かめないと、断る手間がかかる。

親しい人、仕事関係の方々は、殆どが携帯番号を承知されている。
従って、固定電話に掛けてくるのは、営業か、御年輩か。
営業電話だと思えば、『来客中です!』と切ってしまう。

若い世代の人は、固定電話を備えていないらしい。
吾の時代は、『電話債券』を購入して、電話の取り付けを待った。
今でも宮崎市内に3件、日南市内に4件の債権を有している。

有していても、資産価値はない。
無いのに、譲渡や相続するとなると『印鑑証明』が必要だから、ややこしい。
企業なども簿価価格は0だから、帳消ししたほうがいいと、かねがね思っている。

電話債券を必要とした時代、時の移ろいもゆったりとしたものだった。
悩み、苦しみ、慶び、そして努力の毎日だ。
恋もして、嫉妬に狂い、友と激しい喧嘩もした。

そういう思い出を、青春時代に培ったが、それは何時までも記憶に残る。
小、中、高と大学時代、そして青春、人生の歴史では大きな部分を占める。
が、その後の記憶は、あっという間に縮こまってしまう。

特に、40代に入ると、いちいち記憶に留めぬほどに、数多くの経験が重なる。
そして、いつの間にか還暦を迎え、前期高齢者である。
年を取るたびに、新しい病気に遭い、また古い病気とも再会してしまう。

日南高校の『黒潮同窓会』の実行委員長をやれ!と言われたのは還暦寸前。
そして、還暦同窓会が、中学、高校と続いた。
もう、あれから8年近くが過ぎようとしている。

40代は、百姓も山師も、議員活動も、政党活動も、熱心に取り組んだ。
子育ての大事な時期に、新党を立ち上げたり、既成の政治に対抗したり。
もっと大きな目標があった筈なのに、小さいままに暦が還った。

先日は、1年先輩のラグビー部ОBが、病院の廊下を歩いているのを目に止めた。
色黒いのは昔のままだが、びっこを引きながら、やっとのことで歩を進めている。
下を向いているから吾を認めることはない。

近くに来たとき、後ろから車いすが接触した。
『怒るだろうなぁ~!』と思っていたら、顔を歪めながらも、押している人の詫びに頷いた。
あの、気短な男が気長になったのか?それとも気弱になったのか?

それにしても、一昔前までは『喧嘩も辞さず!』という男である。
身体が不自由になると、気持ちも弱くなるのだろうか?
吾と一つ違いだから、吾自身に置き換えて考えてみる。

昔のアルバムを眺めていると、自身の若さに、思わず恥かしさに襲われる。
25歳で市議会議員に出馬した時の白黒の写真なんて、とても吾とは思えない。
特に、交通事故による外傷もない時代だから、比較にもならないくらい男前だ。

あの当時の顔が、時代の変遷と苦労、そして裏切りの世界を経て、今の顔になったのか?
毎日、洗面所の鏡を見ているから、その変化に気付かない。
が、何年振りかで出会った人には、大きく様変わりして見えるのかもしれない。

老眼鏡を掛けて、手や首を見詰めると、自身の老いが見えてくる。
皮膚のたるみやシミ、浮いた血管など、よおーく見える。
でも、自身は老いた感じはしないし、若気の強気も持っている。

人間の肌が、一番美しく綺麗な時期は『赤ちゃん』の時である。
成長するにつれて、皮膚の毛穴が開き、色もくすんでくる。
そして、女性は生理の開始とともに、男性も25歳から老いてゆく。

昔は、男性は18歳から22歳、女性は17歳から19歳が婚姻適齢期だった。
女性は初潮を経験して間もなくだし、男性も夢精から自慰に励むころ。
このころが、次世代への遺伝子が『優秀』なのかもしれない。

前にも書いたが、人間は生れた時点で『死』に向かっている。
向かう期間が、この100年間で倍近くになった。
その『倍』の世界の人達が毎日、病院を訪れている。

『殆ど毎日』と言っていいだろう。
県立日南病院で、声を掛けられるのである。
うち半分は、しつれいながら存じ上げない。

上げないが、さも思い出したように親しげな様子を見せる。
話の内容は、もっと判らない。
が、これも理解し、納得したフリで別れるのである。

吾の老い、知り合いの老い、老いの凝縮した病院に、もう一ト月は通わなければならない。
診察する医師の態度が、お年寄りを労わるような姿勢である。
若い!と思っていたが、段々と老いてゆく仕組みなのかもしれない。

病院で老いる!
ならば、早々に退散しないと!
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