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2016.07.31 (Sun)

飫肥杉林業

林道の草払いに梅園、柿林と、梅雨明け後の草払いを済ませて杉山に。
3年前に植えたのだが、その時までは下刈りが年2回補助。
相当に荒れているだろう!との予想に違わず、杉を見出すのに苦労する。

早朝、4時半に家を出て、未だ暗い林道を駆けてゆく。
ブト除けの線香を焚いて下げ、網目の覆いが付いた帽子を被って下りてゆく。
草の見分けがつくようになると、作業開始だ。

ブトは少ないが、虻がしきりと衣類の上から食いついて来る。
痛くなるから判るのだが、虻も漸く肌に達したところだから懸命に吸い付く。
作業を止めて叩いても、直ぐに打ちのめされるほど夢中なのだ。

虻やブト(学名はブヨ?)は、山奥の清流で生まれるから市街地には居ない。
双方ともに、血液を吸って生き、子孫を残すのか?血の匂いを嗅ぎつける。
今の時期、山仕事の人達は網目の帽子を離せない。

休憩なしで作業して、約2時間で燃料が切れる。
続ける場合は、給油用の燃料容器を持参しているが、急坂の道だから終了。
坂道を軽トラまで登り、汗で濡れたシャツなどを脱ぐ。

冷房を掛けて、上半身裸のままで握り飯を頬張る。
空腹!というよりも、飲み物を欲するから水筒の冷たい茶が有難い。
上半身を着替えて、畑に走ってゆく。

20代の時分から、山の下刈りには随分と通った。
伐採して植え、植えるから下刈りだから、伐採しなければ苦労はない。
が、『政治がカネを必要とする!』から、素材業者と交渉するのである。

植え付けも下刈りも、隣家の守永林さんを頼んでいた。
吾と一緒でなければ行かないから、真夏の炎天下に通った。
当時は、『下刈り鎌』という5尺ほどの長柄の鎌で刈る。

現在の下刈り機では、おおよそ1日に3反くらいだろうが、鎌では1反だ。
本来が汗かきだから、瞬く間に干上がって来る。
転げ落ちるように、水を求めて駆け下りて行った。

杉材の値段が高かったから、それだけの苦労を厭わなかった。
が、現在では安値だから、造林の苦労を知る人は『山は要らぬ!』と云う。
吾は、赤字だろうけど、ちゃんと植林する責めを感じるから苦労を捧げている。

弁甲材が好調だった頃、立方価格が5万7千円だったから、現在の6倍強か?
それも、現在は土場渡し価格であって、当時のは立木の価格である。
つまり、立木での価格で言えば、現在の30倍の勘定になる。

分収部分林というのがある。
国有林とか市町村有林などの山林に、希望する人達が造林し、売り上げを分収する。
60年後の伐採を見込んで契約する『地区組合』が多く、希望者が殺到した。

売り上げの2割を所有者が取り、8割を分収組合員で分配する。
吾は、昭和50年頃、2か所の契約権利を売り払った。
一株・100万円で売却したが、購入した人は大幅な赤字だったに違いない。

林野庁が、『緑のオーナー制度』というのを売り出した。
期日が来たら伐採、売り払って利益を還元する!というものだ。
数年後に批判を食ったが、吾は売り出される頃には既に権利株を売却済み。

その部分林が伐採、売り払いの時期を迎えている。
が、材価の低迷が著しいから、配当は少ないだろう。
先日、7区の部分林代金が配布されたが、10万円と少しである。

部分林の植え付けが済むと、夏の暑い時期に下刈りが待っている。
40町から50町ほどの山林だから、何日もの時間を要する。
当時は、歩いて現地に行き、昼飯の茶も、現地で沸かした。

最終日には、責任者が『茶屋付け』に走り、少し下りたところで直会が行われる。
豆腐が半丁づつ弁当の蓋に配られ、缶詰と共に焼酎の肴とされる。
自宅までの往復が『歩き』だが、夕闇が迫っても呑んでいた。

下刈りの作業に行けない人は、『未進』という代金を納めなければならない。
つまり、市街地に住んでいて権利を購入した人は、『未進』が多額に上る。
その『未進』合計の幾割を、配当として貰ったのか?元金はそのまま赤字なのである。

分収林の売却も、素材業者が『不落』で、購入されない物件もある。
つまり、買い手がないということだから、これはもう『赤字』どころではない。
山林所有者も赤字、育林者も赤字、60年の汗と苦労が『徒労』である。

『分収部分林』を設定する希望者がいないから、『一人でも出来ますよ!』と林野庁が。
それでも希望する人が現れないから、国は仕方なく自前植林している。
原資は『税金』だから可能なのだろう。

松形知事が、『財産形成に税金を投入するのは林業くらい!』と言った。
まぁ~農地整備なども『財産活用の利便性』を向上させているのだけれど。
それだけ『単一資産』として、林業に重きが置かれているということだろう。

現在、造林補助金が68%、補助されている。
つまり、下刈りなどを委託すれば、費用の32パーセントは最低負担となる。
それでも、補助金と地主負担だけで造林するには窮屈だ。

先日の県森連の理事会では、『国有林の造林費用が高いから、森林組合事業に人手が集まらない!』との苦情が。
補助金の中身、つまりは『歩掛り』に差があるのだろうが、果たして国有林と比較するのが正しいか?
本来は『個人の負担』  だけど補助なしで植林する林家もいない。

しかし、やがては民有林でも放置される事態が相次いでくる。
そうなると、国有林相当の『育林費』を補助して森林組合に委ねる必要がある。
様々な将来懸念が目前に迫っているが、果たして行政は気付いているのか?
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